昨日は、夢みたいな時間だった。
「おめでとう」
あなたが笑顔で、囁いて。
あなたの心、貰えたから。
*
真冬のこの時期は、朝の目覚めがけっこう辛い。
お布団から出るまでには、(大げさな気もするけど)一大決心、なのよね。
……普段は。
でも、今日は。自分でも驚くくらい、パッチリと目が開いて。
いつもよりも早く、身支度も整えた。
「寒いから、今朝は温かいスープ作ろうっと」
常備野菜を取り出して、細かく刻んで炒めて煮込んで。
簡単なメニューなんだけど、じっくり煮込めば本当に美味しい、野菜スープ。
細かく刻んだら、ルーミィでも気づかずに食べられるしね……トンジャン以外は。
「おはよう、パステル」
声に振り向くと、昨日私を魅了した笑顔。
どきん、と心臓が大きく跳ねた。
「お、おはよクレイ、早いね」
「君こそ」
お互いに何となく、顔を赤らめて。それからふたりで、微笑んだ。
「ね、クレイ、スープ以外に何か食べたい?」
不意に尋ねてみると。
「うーん……そうだ、一昨日リタにもらったソーセージは?」
的確な答えをくれた。
「あ、そうだね! あとで焼くね」
「うん、楽しみにしてる」
クレイはそう頷くと、「朝稽古してくる」と言って、出て行った。
ことこと、ことこと。
お鍋が小さく歌い始めてる。
アクをすくってから、火を弱めて。もう少し煮込んだら、ぐんと美味しくなるだろう。
普段どおり、朝ごはんを作ってるだけで。たまたま、いつもより早く起きて。
───クレイも、起きて。ちょっとだけ、ふたりで話しただけで。
こんなにも暖かい気持ちになれる、自分を見つけた。
「フフッ」
緩みがちになるほっぺを軽く叩いて。
クレイが美味しい、って言ってくれるようなごはん、作らなくちゃ、と言い聞かせてから。
私は、ソーセージに添えるための野菜を考え始めた。
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