渡せない想い

「はぁ‥‥」
 こんなことって初めて。
 バレンタインにチョコ渡し損ねるなんて。
 そりゃぁ、冒険中でそれどころじゃなかったってのはわかってるんだけどね。
 でもね‥‥‥今年こそはって思っていたんだよ。
 クレイに告白しようって。
 でも‥‥‥まただめかぁ‥‥‥
 私はまたため息をついた。

「おい、パステル、おかしくないか?」
 トラップがそんなことをオレに言ってきた。
 確かに、目に見えて落ち込んでる。
 オレはうなずいて、ささやき返した。
「体の具合でも悪いのかな?」
「そうじゃないでしょうが!!」
 いきなりキットンに怒鳴られ目を白黒させるオレとトラップ。
「な‥‥なんだよ?一体」
「キットン、パステルが元気ない原因知ってるのか?」
 オレ達の言葉にキットンは呆れたように見て‥‥‥深刻そうにため息をついた。
「‥‥‥‥パステルもあれじゃ、苦労しますよ。全く」
 何だぁ?

 ―これはまだ、パステルが気持ちを封印する前、クレイが気持ちを自覚する前の小さな物語―


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