「トラップ!!た、たいへんだ!!」
「あー?」
なんだあ?クレイがまた何か焦ってるけど...ってまあ、それはいつものことか
そう思いながら、だるく返事をするおれに、クレイは詰め寄って
「大変なんだって!!」
だー!!うっとうしい!!
「だあら、なにがだよ!」
「明々後日、パステルの誕生日だ」
.....はあ?
今更なにいってんだ?
ってもしかして、こいつ....
「おめえ、なんも用意してねえのか?」
コクリと頷くクレイ
はあ...パステルっておめえの彼女なんじゃねえのか?
少し、いやかなり呆れながら
「で?どうすんだ?」
そう聞くおれに、クレイは握りこぶしを作りながら
「今のままじゃ何も買えないから、バイト決めてきたんだ」
「間に合うんかよ?」
「そのために、トラップに頼みたいことがあるんだ」
なんか、いやだなぁ
そう思いながらも
「なんだよ」
って聞いてみると
「パステルに何か聞かれても、上手く誤魔化しておいて欲しいんだ」
はっはぁん、確かに今の時期にバイト始めた、なんてパステルにバレたら、プレゼント
用意してんのが、もろバレだもんな
っていうかよ、用意してなかったのもバレるわな
ふう〜〜〜ん
「まあ、おれの条件を飲んでくれんなら、いいけどよ」
「な、なんだよ、条件って」
「それはな.....」
「ねえ、トラップ〜、本当にクレイどうしちゃったんだろう?」
せっかくリタたちがパステルの誕生日パーティを開いてくれてんのに、クレイのヤツが
バイトが長引いてか、プレゼントを選びきれてないのか、まだあらわれない
「大丈夫だっての。きっと今ごろ慌てながらここに向かってんよ」
って言ってもなあ、本当に心配してんだろうなぁ。
ここ3日ほど、まともに話もしてねえだろうしよ
...仕方ねえなぁ
「そしたらよ、パステル。今からおれがみすず旅館までひとっ走りしてやっからよ」
そう言うと、パステルはうれしそうに笑った
まあこれ以上ここにいて、パステルにクレイのこと聞かれても流石に誤魔化しきかねえ
だろうし、ここが潮時か?
「じゃあ、待ってろよな!」
その一言を残して、おれは猪鹿亭を後にした
みすず旅館に向かってしばらく走ると、おやぁ?ありゃあクレイじゃねえか
ナイスタイミングだな
「おい!クレイ!!」
おれが声をかけると、おれの姿に気付いたクレイが手を振りながら
「おー、トラップ、どうしたんだ?」
ガクッ
「あのなー!!おめえがあんまりにもおせーから迎えにきたんだよ!」
「悪い!バイトが今日に限ってなかなか終わらなくて」
少し息を乱しながら、クレイはいう
やっぱりかよ。こういう時に限って、っていうのはやっぱりクレイが不幸だからか?
なんてことを考えながら
「で?ちゃんと買ってきたのか?」
そう聞くと、クレイは少し暗い顔をした
「おいおい、確か目を付けてた髪留めがあったんじゃねえのか?」
「....閉まってたんだ」
「はあ!?」
こ、こいつマジでバカ??
「イテッ!」
思わずクレイを蹴飛ばしちまった
でもよ
「おめえな!!パステルずっと待ってんだぞ!!おら、どこだよその店は!!」
そう怒鳴るおれに、クレイは左足の脛を押さえながら
「ど、どこって、聞いてどうすんだよ?」
「決まってんだろ!!今から行って、売ってもらうんだよ!!」
「でも、迷惑じゃ...」
こ・の・お・と・こ・は〜〜〜!!
気ぃ使うのは勝手だけどよ、今はそれより考えることがあんだろ?
「そりゃあ迷惑かけるだろうけどよ!おめえパステルのこと考えてんのか?あいつにとっちゃあ
プレゼントよりもおめえがいることが大切なんだぜ?そんなことに気付きもしねえでおめえはプ
レゼントを優先させたんだから、ちゃんと渡さねえと、パステルがずっと待ってた意味ねえだろ!」
思わず怒鳴るおれの迫力に押されて、クレイはその店をおれに教えた
「パステル、喜んでくれるかなぁ?」
この幸せボケしたクレイがそうおれに聞く
ったく、だれのお陰でそれを買うことが出来たか、わかってんかよ、コイツは
少し憮然としながらおれは
「あーあー、喜ぶだろうさ!だからとっとと猪鹿亭まで走れ!」
そう言ってクレイの背中を蹴飛ばした
「とっとと!わ、わかった、トラップありがとう!!」
おれに蹴られたせいで少しよたつきながらそう言うと、クレイは走り出した
その背中を見ながら、おれは
「約束守れよな!!」
「おー!!あとで回数教えてくれ!」
怒鳴るおれに、クレイはそう怒鳴り返した
約束って、なにかって?
ほら、あれだよ、あれ!クレイが言ってただろ?パステルにクレイがいないこと聞かれたら
誤魔化してくれって。
で、おれが条件だした、あれだよ。
え?どんな条件だったかって?
それはな、1回誤魔化す毎に100G貰うってことだよ。
まあ、手数料ってことだな。
どうせパステルのことだ、クレイの姿が見えなきゃ絶対聞いてくるからな。
それに不幸なクレイちゃんのことだから、当日遅れてくる気がしてたんだよなぁ。
案の定、遅れてくれたお陰で、計12回パステルはおれに聞いてくれたんだよな。
100G×12回は?
それに今回は色々としてやったんだから、プラスαつけても罰はあたんねえだろうしな。
おれはニヤリと笑いながら、パステルたちの待つ猪鹿亭へと歩き出した
クレイちゃん、毎度あり!!
−fin−