すれ違い、その愛


ああ。
おれはため息をつく。

−−これで、何度目だろう。
ついついネガティブになってしまう自分を叱咤しながら、何が悪かったかをもう 一度考えてみる。

どうして、おれの想いは伝わらないんだろう。



それはある晴れた一日の事だった。
彼女は洗濯ものをはたきながら一枚一枚干していた。
手馴れているからどんどん洗濯物は干されていく。洗濯物はまるで生きているか のようにどこかうれしそうに、ぱたぱたと揺らめいていた。

そんな、いつもと変わりない光景。
そんな、いつもと変わらない彼女。

「なぁ」
おれは思い切って、声を掛ける。
前々から募る思いをついに、伝えよう。 そう思ったのだ。

「何? クレイ? 洗濯物ならもう終わったから手伝ってくれなくても大丈夫よ」
返ってきた無邪気なセリフにちょっと弱気になる。
「そ、そうか……」
いや、いけない! ここでひるんだらいつもと同じだ。

「パステル」
「ど、どうかしたの? そんな険しい顔して」
彼女をただひたすらに、じっと見つめる。

「今度、一緒におれと出かけないか? 二人きりで」
ついに……言ってしまった。
「え? 二人でいいわよ。もちろん」
パステルの返事は、……OK!

やった!

しかしその後の彼女のセリフに、おれは硬直した。
「でも、何で二人なの? それって、なんだかデートみたいね」
「へ?」
「だって、クレイはハンサムだし、格好いいし。私なんてわざわざ誘わないでし ょう? 私じゃ釣り合わないもの」
「そんな事……」
「いいって、いいって全然気にしてないから」
そんな事は全然ない。むしろおれは逆だと思っている。

「――違うんだ!」
「ああ! パステルここにいたんですか。探しましたよ。前ハンドクリームが欲 しいと言っていたでしょう。あれが出来ましたよ」

おれのセリフはけたたましい声にかき消された。
「ありがとう、キットン! キットンのクリーム効果抜群だもんね。ちょっと今 使ってみたいな」
「それだったら、部屋にありますから、とって来ましょう」
「うん!」
二人の話におれの一世一代の告白は無残にも消え去ったのだった。

「ど、どうして、こんな」
「ごめん、クレイ。で? 何が違うの?」
「いや、もういい」


好きな彼女はとても鈍感だ。
おれの思いには、いつ気付いてくれるのだろう。

でも、おれはあきらめない。

きっと、いつか。
叶う日がくるだろう。

「ねえ、私よりもマリーナとかの方がいいって(だって、マリーナはクレイの事 好き見たいだし)ね?」

いつか、叶う。……よな?





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