そして、朝が来る


ふと、夜中に目覚めた。

隣に眠る、暖かい腕の感触に安堵する。
部屋に差し込む月明かりに、黒い髪が優しく光る。
「クレイ」
寝顔にそっと囁きかけて、ベッドから這い出す。
「ごめんね」
彼にそっと背を向けて、部屋から出る。

 *

ふと、夜中に目覚めた。

空虚感に襲われる。
「パステル…?」
ベッドの隣にいるはずの、愛しい存在の名を呼ぶ。
でも、柔らかい金茶色の髪も、華奢な身体も、そこにいない。
「どこ行ったんだ」
小声で呟き、ベッドから降りる。

 *

月は、静かに輝いていて。

ただ、窓から眺めている。
特別な月でもないのに。
でも、何かが呼んでる気がして。
月から視線が離せない。
だから、じっと動かずに。
ひとり、月を眺めていた。

 *

月は、静かに輝いていて。

彼女を探して、ふと足を止める。
月を眺める横顔が。
たまらなく、儚げで。
声をかけるのを躊躇って。
でも、彼女が消えてしまいそうに錯覚したから。
そっと、背中から抱き締めた。

 *

優しい人の、ぬくもりが包んでくれる。

「クレイ?」
名を呼ぶと、腕の力が強くなる。
「心配したんだぞ、急にいなくなって」
諭すような、優しい口調。
「ごめんなさい」
素直に言葉が出てきた。

 *

優しい人の、ぬくもりが包んでくれる。

「月が見たかったの?」
尋ねると、小さく頷いた。
「呼ばれている気がしたの」
かすかな囁きが、耳に届いた。
「そうか」
腕の中に、愛しい存在を確認する。

 *

もう、夜が終わりそう。

「明日は早いんだろう?」
彼の言葉と、頬に唇の感触。
「さ、戻ろう」
そっと私を抱き上げてくれる。
彼の鼓動を、直接身体に感じて。
私は静かに目を閉じた。

 *

もう、夜が終わりそう。

腕の中の君は、確かにここにいて。
ベッドに運んだときには、もう夢の住人。
「おやすみ」
寝顔に囁き、そっと抱き寄せる。
彼女の髪の、柔らかい香りに包まれて。
俺もじきに、夢の住人。

 *

そして、朝はやって来る。
静かな時間を覆い隠して。



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