鈍感3号――その後
マリーナは先日トラップに言われた言葉に今だショックを覚えていた。
公園の芝生に寝転がり、空を見つめる。
「……鈍感。……私が鈍感? どこが?」
あれからマリーナは考えてみた。
自分が見落としているものについて。
しかし――どれだけ考えても思いつかない。
『お前も周り見てないだろうが』
瞳を閉じるとあの時のトラップが思い出される。
ほんの少し怒った顔。
次いですねた顔、悪戯を思いついたような顔、真剣な顔、優しく笑う顔……
「――って、何で私こんなにトラップのこと考えてるのよ!」
ガバッと上半身を起こして火照った顔を両手で押さえる。
心臓もはち切れんばかりに動いている。
とりあえず落ち着くためにゆっくりと深呼吸をする。
落ち着きはじめたその時――
「何してんだ?」
「キャッ!?」
目の前に現れたのは今さっきまで考えていたトラップだった。
いつもと違う反応にトラップは面食らった顔をしている。
そして――
「顔赤いけど熱でもあんのか?」
左手を自分の額に、右手をマリーナの額に当てた。
いつもならば笑ってその手を外すのに……動けなかった。
「うーん、別に熱はなさそうだな。……マリーナ?」
彼女らしくなくボーとした表情に顔を近づける。
その距離数十センチ。それでも彼女は反応を見せない。
更に近づく。
数センチ……ほとんど鼻先が触れ合う距離。
後一歩――
「あっ、とりゃーだぁ」
「トラップ兄ちゃんデシ」
「きゃぁぁ」
「うわっ!」
二人の無邪気な天使の声にマリーナはトラップを突き飛ばした。
その夜、ルーミィとシロに一言も口を利かないトラップの姿があった。
さらにパステルやクレイの怒る声にも逆ギレしていたという。