そんな出来事


「――トラップ!」

掛けられた声に振り向くと、そこにいたのは。いるはずもない人物で。

「あんだよ。おめえか」

ぶっきらぼうにかけられた、声。

「たまには休んで行ってこい、ってアンドラスが、ね」

「へぇ」

「……折角だから、皆に会おうかなって思ってね」

「ふうん」
興味がない、といった様子でトラップは言う。

「ほら、行くぞ。皆に会いに来たんだろ」

「うん」

本当の気持ちが言えたら言いんだけど。

意地っ張りな自分が憎らしい。

「……おれは会いたかったけど」
「え?」
小声でぼそっと呟かれた言葉に。
一瞬、

世界が、

止まった。

自分が動揺しているのが、痛いほど分かる。

それはだしてはいけない思い。

「……さあ、行きましょう。パステルと久々に話もしたいしね」
「…………」
トラップは黙って居た。

こんな自分を嫌いになってしまったのだろうか?
それは、仕方のない事。

と思ったのに。

「やっぱり、クレイが好きなのかよ」

返ってきた返事は以外なものだった。

「どうしてそうなる訳?私が好きなのは……」
だめだ、やっぱり言えない。

「わあってるよ」

トラップは一言、そう言った。

「おめえが意地っ張りなのは、ようくわかってるからな。けど、いつか」
いつか、おめえの口から……。

どうしていいか分からない。

言葉にも出来ない。

ただ、そこに起こった出来事が信じられなくて。

「ありがとう」

とても嬉しかった。

意地っ張りな私だけど、いつか、いつかこの思いきちんと伝えるから。
待っててね、トラップ。





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