ひとりで眺める、窓の外。
銀の魔法が、世界を染め上げ。
世界に私はひとり。
世界は完全な沈黙。
そのとき。
静寂を破る、静かなノック音。
躊躇いがちな、誰かの声。
入っていいか、尋ねてる。
承諾すると、安堵の溜息。
暖かい気配が、近づいてきて。
私の隣りに、そっと立つ。
そのまま、ふたりで眺める世界。
どうしてだろう。
彼がここにいる、だけなのに。
ひとりじゃない、だけなのに。
心が熱く、満たされてゆく。
ふと、彼を見上げれば。
私を見つめ、微笑んで。
そっと、肩を抱き寄せて。
愛おしそうに、頬を寄せる。
もう、何も聞こえない。
もう、何も見えない。
もう、何もいらない。
この人の、全て意外は。
それは、静かな夜のこと。
月だけが、見ていたこと。
《終わり》