真実の気持ち

「俺、おめーのこと・・・好きなんだ」
  俺は四月一日、ついにあの・・・マリーナに告白した。
  しかし、そのときのマリーナの顔は傑作だった。
  だから、ふられたと思って笑ってしまった。
  「ばっかじゃねぇの?今日、エイプリルフールだぜ」
  そうよね・・・とあいつも笑った。

  俺は部屋に帰って、今日がエイプリルフールでよかったと思った。
  すると、上から雫が滴り落ちてきた。
  「雨漏りか・・・」
  そう思って天井を見てみる。しかし、雨漏りをしている様子も無い。
  どうしてだろうと思ったとき、ふと鏡が目に入った。
  「まさか・・・」

    ――― 鏡に映っているのは、自分。
 ――― その瞳の中には・・・きらりと光るものがあった。
 ――― 俺の・・・何年ぶりかの・・・涙。
  「どうして涙なんか・・・無様なトラップか。たまにはいいかもな」
  誰に話し掛けるでもなく、俺は呟いた。
  しかし、言葉とは別に涙は次から次へと流れてくる。
  「くそっ・・・、止まりやがれっ!」
  俺が涙と格闘していると、後ろから声が聞こえた。
  「いくら止めようったって、無駄やで」
  「だれだっ!?」
  すると、うさぎらしきものは、こっちに歩いてきた。
  「うちはフィーリング。あんさんにエエモノ見したるわ」
  そううさぎが言った瞬間、俺の周りは闇に包まれた。

  俺は・・・ここにいる。
  なのに、俺の目の前には、俺がいる。
  俺の目の前の俺は頭をおさえて・・・泣いている。
  「これが・・・心の中のあんさんや」
  「これが・・・心の・・・・・俺?」
  心が、泣いている・・・
  「心が泣くと、自然と涙は出てくるんや」
  「そうか・・・だから、俺・・・・・」
  泣いてんのかよ・・・
  「どうすれば、涙は止まると思う?」
  フィーリングは俺に問う。
  「そんなこと、知るかよっ・・・」
  俺は半分怒鳴り声で答えた。
  すると、景色は元に戻り、フィーリングは消えていた。
  「自分の、本当の気持ちを・・・ぶつけてみいや」
  フィーリングが消える瞬間、耳元で囁いた言葉。
  その言葉を頼りに、マリーナの店へ、俺は走っていった。

  コンコンっ
  ノックする音が俺の耳を通りすぎていく・・・。
  「はーい・・・って、トラップ!?」
  ずいぶん驚いたらしい。けど、すぐに普通に俺に接した。
  「さぁ、入って」
  「おぅ」
  俺は短く返事をした。

     ソファに並んで座る。
  「なぁ、・・・」
  思い切って話し掛けてみる。
  「なに?」
  何気なくマリーナは答えてくれる。
  だから、俺は正直になってやる。
  愛しいマリーナのために・・・・・
  「マリーナ、好きだ・・・」
  真剣に、慎重に話した。
  たった三文字なのに、緊張してくる。
  「今度は・・・本当?」
  マリーナは複雑な表情で見ている。
  「二度も同じ嘘をつくほど、俺はバカじゃねぇよ」
  俺は苦笑しながら、答えた。
  「トラップ・・・私もよ」
  「マリーナ・・・」
  俺達は導かれるように、唇をかさねた・・・・・ 


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