マリーナからチョコをもらった
…これはどう解釈したらいいんだ?
いや、考えるまでもねーよな
義理に決まってんだから
けど、他の奴らには
渡してねーみたいなんだけど
気合の入った本命だから
おれには内緒だとか
キットンとノルにも本命か?
それはいくらなんでもな
だいたいこのチョコ
手作りだよな?
しかも妙に
手のかかってそうな
気合の入ったチョコってのは
こういうのを言うんじゃねーの?
いやいやいやいや
勘違いしてんなって
これは、ほら、あれだ
本命用の余分だとか
失敗作とかそういう類の
でもよ、これが失敗作か?
見た目も味も
完璧に思えるけどな
余分にできたのなら
自分で食べるよな、普通
しかも凝ったラッピングは
おれ好みの派手なやつで
そういえばこの味だって
おれの好みにばっちりだ
ただの偶然ってのもありだよな
本命と同じ趣味
本命と同じ味覚
ただ、それだけのことで
けどさ、マリーナの奴
珍しく顔が赤くなかったか?
珍しくしおらしくなかったか?
周りに誰もいなかったよな?
まるで、好きな奴に渡すときみたいに
待て待て待てって
ただのタイミングの問題だとか
実は風邪でも引いてたとか
けど、そんな体調のときに
わざわざ馬車に乗って渡しに来るか?
思考を追い払って
隣の部屋へと駆け込んだ
食べかけのチョコを持ったままで
「マリーナ! おれもお前が好きなんだ!」
堂々とした宣言に
マリーナは全身を真っ赤に染めて
小刻みに震えさえした
喜びのあまりではなく
みなぎる怒りのために
「あんたなんか大っ嫌い!」
おれを突き飛ばすように部屋を出て
走り去って行ったマリーナ
「追いかけたら?」
呆然とするおれに対して
そんな言葉が投げかけられる
見渡すまでもなく
パーティメンバーが勢ぞろいしていた
自分の失敗を
まざまざと思い知って
おれも部屋を飛び出した
謝罪と再度の告白のために
旅館を出ると
庭先にマリーナがいて
気まずそうにしながらも
「ごめんなさい」
いつになく素直に謝った
そんな新鮮な姿と
はにかんだ表情が
あまりにもかわいくて
しっかりと抱きしめた
おれからも謝ると
「さっきの言葉、忘れないからね」
嬉しそうにそう言って
おれの背に手を回した
伝わる想い以上の想いが
全部、伝わってるといい
お前からの想いに負けないくらい
おれもお前が好きなんだから