背伸びしないで。


   無理はしないよ。
   だって、
   そんなの柄じゃないもんね?

   あなたも、私も。


       *


今日は、クレイの誕生日。
だから皆で、手作りパーティー。

「ほらぁキットン、また飾りがずれてるじゃない!」
「ああああぁ、どうして上手くいかないんですか?」
「キットン、俺、手伝う」
「るーみぃも!」
「こーら、おめぇはクレイへのプレゼントがまだできてないだろーが」
「ルーミィしゃん、頑張るデシ!」

……クレイのバイト中を狙って、目下準備の真っ最中。
もちろん修羅場。
みんなが一所懸命に、彼のために飾りつけして、できる限りの御馳走も準備して。
さあ、あとは主役の帰りを待つだけで。


「ただいまぁ」


!?
ちょ、ちょっと、ま、まだ早いわよぉぉ!!


       *


何やかんやで、無事に終えた、クレイの誕生日パーティー。
みんなが大好きなミケドリアの空揚げや、一応頑張って作ったケーキで和やかに。
そして、楽しく過ごしたひととき。

「ほぉら、クレイちゃん、主役が出ないでどうすんだ!」
「そうですよぉクレイ、たまにはいいでしょう」

主役のクレイは、酔っ払ったトラップとキットンに連れられて、猪鹿亭へと連行されて。
ノルはルーミィたちと一緒に、早々と御就寝。
結果。
私はひとり、ぼんやりとリビングで、クレイ+α待ち。

「……ただいまぁ……」

こっそり、ひっそり届く声。出てみると、やっぱりクレイ。

「お帰り、お疲れ様。あれ、トラップ達は?」

私が尋ねると、クレイは苦笑いして。

「ふたりはまだまだ飲むってさ。俺は明日もバイトだから、早めに抜けさせてもらってきた」

上着を脱ぐと、ソファに倒れ込む。

「大丈夫?はい、お水」
「さんきゅ」

慌てて差し出した水は、見事完飲。
それからにこり、と笑いかける。

「パステル、ありがとうな」
「え?」
「君だろ?今日のこんなパーティー企画してくれたのは、さ」

クレイはにこり、柔らかな笑みになって。
私は頬が、燃えるように熱くなった。


       *


   ほらね、やっぱり。
   今の貴方と私は違う。

   だけど、背伸びはしない。

   だから。
   みんなで祝って、みんなで笑おう。
   優しいリーダーの誕生日。

   そして、いつかは。

   ……私と貴方、二人きりで。


     (完)





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