サンタクロース


「ちょっと、何なのよ!」

パーティの途中で
腕を引っ張って二人で抜け出した

「せっかく来たんだから、閉じこもってちゃもったいねぇだろ」

シルバーリーブまで来て
猪鹿亭とみすず旅館だけで
帰らなくてもいいじゃねーか

「だからって、説明もなしに引っ張り出すことないでしょ」

軽くにらむおめぇが
怒ってないことはわかってんだ

「ちっさい村でも、そこそこ綺麗だろ」

庭に巻かれた電飾
クリスマスの飾りつけ
モミの木にはオーナメント

言葉がなくても
気に入ってることはすぐにわかった
その表情が雄弁に気持ちを語るから

さっきまでの、こいつみてぇに

「クリスマスは楽しい方がいいだろ」

楽しそうに話すあいつらを見て
寂しそうにしているよりも
年に一度のクリスマスくらい
綺麗なもん見て楽しく笑って
その方がずっといいだろう?

「そうね」

おれに笑いかけるその顔を
ずっと見ていたいと思った

「あんたってサンタクロースみたい」

年に一回、ほんのたまに
だけど、欲しい物をくれるのだと
マリーナは言った

「おれは何もやっちゃいねーよ」

見透かされてしまったことが
あからさますぎた自分が
気恥ずかしくてそっぽを向いた

「来年はわたしもサンタになりたいわね」

年に一回、ほんのたまに
だけど、欲しい物をくれるサンタクロース

誰のためのサンタになるのかと
尋ねるのは野暮な気がした

自惚れてんのかもしれねーけど
来年は抜け出さなくても二人でいられる
そんな気がしてしかたがねぇから





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