プレゼント

『お誕生日おめでとう!!』
 部屋にみんなの声が響く。
「ありがとう、みんな!!」
 私はにっこり笑って祝福を受けた。
 ―こんな風にみんなに祝ってもらうようになって、もう二年になっている。
 最初は単純に嬉しかったけど、今じゃ少し違う。
「どうしたんだい?パステル」
 クレイが笑って聞いてくる‥‥もう!!
 ホントはクレイから一番欲しいものがあるのに!!
「‥‥今年も‥‥言ってくれなかったなぁ‥‥」
 リタにもらったパジャマ(これ、結構ドレスみたいで気に入っちゃった)に着替 えて、私はため息をついた。
 あ、ルーミィ達は珍しくノルのところで寝るんだって納屋に行っている。
 クレイから欲しいもの‥‥それはクレイの気持ち。
 彼に婚約者がいるって聞いたとき、ギアやトラップがもめたとき、マリーナがクレイのこと好きだって知ったこと、そういう色んなこ とですっかり封じちゃった 想いがうずいている。
 クレイが好き。多分叶わない思い。
 でもね、肝心のクレイの方はどう思ってるのか‥‥それがわからない。
 彼ってそう言う感情あんまり表に出さない。だからあの呪われた城のことだって 正直意外だった。
 コンプレックスを持っていたことは知っていたけど、あそこまでつらかったなんて‥‥
 多分、クレイのこと本気で好きになったのはあの時だと思う。
 前に言われたときは知らないふりして誤魔化しちゃったけどね。
(クレイ、貴方はどう思ってるの!?  私がトラップやギアに何か言われても平気なの!?)
 今年も聞けなかったせいか、何となくざらついた気持ちで八つ当たりしてしまう。
 涙で周りが見えなくなる。
「クレイ‥‥私のこと、妹としか思ってないの?」
「‥‥思ってないって」
 後ろから声がかかって思わず悲鳴を上げてしまった。
「きゃっ!?」
「ごめん、驚かしちゃったか?一応はノックしたんだけど」
「驚くわよ!!クレイのバカ!!」
 クレイったらいきなり女の子の部屋に入ってきて!!
 しかもその答えだと、私のあの言葉聞いていたのね!!
 なんか体中が熱くなって、むかむかと怒りがわいてくる。
 私はヒートアップする頭でクレイに散々あたっていた。
「クレイっていっつもそうよね!!  人の気持ちにするって入り込むのに自分には入り込ませない!!  私が2年間、どんな気持ちで誕生日迎えていたかわかってない!!」
「え‥‥?どうしたんだ?パステル。取り乱して」
「私なんてずっと苦しかったのよ!!  クレイがいつ言ってくれるか、いつ本心を話してくれるか待っていたのに!!  なのに貴方は平気な顔して‥‥何でこんな人好きになったんだろ!!  鈍感で秘密主義で、のんきもののクレイなんかを!!」
「‥‥!!」
 あ‥‥‥言っちゃった‥‥‥‥
 はっと我に返り、私の頬はこれ以上ないってくらい熱くなった。
 ちらっとみるとクレイも顔を赤くして、口をぱくぱくさせてるし。
 うわ〜〜〜〜〜とんでもないこと言っちゃった‥‥
「あ‥‥あの‥‥」
「今の‥‥本当か?俺が好きだって」
 真っ赤になってうつむいている私の耳にクレイの声が入り込んでくる。
 ‥‥‥勢いとはいえここまで言っちゃったし‥‥誤魔化しようがない。
 私はこくりとうなずいた。
 すると、なんと、クレイってば私を引き寄せ、そっと抱きしめてくれたの!!
「クレイ‥‥」
「ごめん‥‥そんなに不安にさせていたなんて‥‥  オレもパステルのこと好きだよ。‥‥いや」
 そこで言葉を切って彼は優しい瞳で私を見つめた。
 不思議‥‥クレイに見つめられただけでこんなに幸せになるなんて‥‥
 ぼんやりしている私に彼はさらに甘い言葉をささやいてくれる。
「愛してる。全てを捨ててでも君と生きていたいくらいに」
「‥‥ああ‥‥!!」
 ため息が漏れ、涙があふれてきた。
 でもさっきとはまるで違う。
 さっきは苦しかった。今は幸せで‥‥涙があふれてくる。
 クレイの肩に頬を寄せ、この幸せをかみしめる。
 やっと‥‥やっとくれた。
 一番欲しかったプレゼントを。クレイが。


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