鍛冶屋で剣を研ぐ仕事をしていたクレイが、夜食の買出しの帰りにふと空を見上げると、空に浮かんでいる何かがゆっくりと降りてきているのが目に入りました。
「なんだろう」
不思議に思ったクレイは、空を見上げながら走り出しました。
「人だ」
降りてきているのが少女であることに気がついたクレイは、落ちる前に彼女を抱きとめようと高みにまで駆け上がりました。
ゆっくりと、まるで浮かんでいるように降りてくる彼女をそっと支えようと両手を出したクレイでしたが、彼女の背がその手に触れた瞬間、それまでふわふわと浮いているようだった少女が突然、本来の重みを取り戻しました。
落ちそうになるのをこらえ、クレイはなんとか彼女を抱えあげて、平らなところに寝かせることができました。
「親方、空から女の子が」
クレイが親方であるノルに声をかけている途中で、ボイラーから盛大な煙が沸き起こりました。
「だいぶ、悪くなった。クレイ、今日はもう帰っていい」
機械の調子が悪いので、ノルは困り顔で整備士を呼びに行ってしまいました。
クレイの声はボイラーの音で聞こえなかったようです。
クレイは彼女のことを誰にも告げられないまま、彼女を抱えて家に戻りました。
朝になって少女が目を覚ますと、少女は簡素な家のベッドの中にいました。
家の中は質素でしたが、清潔に整えられていました。
そして、外からはラッパの音が聞こえて…は、きませんでしたが、クレイは屋根の上にいました。
「やあ、気分はどう? あぁ、ラッパは吹けないんだ。おれはクレイ」
「ありがとう助けてくれて。わたしはパステル」
「パステル。いい名前だね。驚いたよ。空から降りてくるんだから」
「空から? わたしが?」
「あぁ。それ、ちょっと見せて」
クレイはパステルが胸元につけていた青い石のペンダントを借りて、自分につけると、屋根からダイビングしました。
パステルが空から降りてきたようにふわりと浮く予定だったようですが、家の土台のレンガも突き抜けて、地下倉庫のような場所まで落ちてしまいました。
パステルは慎重に屋根から降りて、クレイの落ちた床下まで飛び降りました。
降りてきたパステルにつぶされたクレイは「平気、平気」と笑っていましたが、心の中ではどんな役でも不幸なんだと泣いていました。
なごんでいる二人のいる家の前に、豪快な音を立てて車が止まりました。
その車を見たパステルの顔が険しくなりました。
「あの人たち、海賊よ」
そうつぶやいたパステルの様子に、危険が迫っていることを感じたクレイは、パステルに自分を服を渡して、着るように言いました。
「…大きすぎるんだけど、これ」
袖をまくってなんとかまともに動けるようにしたパステルは、クレイと共に勢いよく外に出ました。
ちょうど家に向かっていた海賊のディビーとぶつかり、ディビーは転んでしまいました。
「僕、こんな役には向いてないよぉ」
クレイにぶつかられたディビーが文句を言っている間に、クレイとパステルは駆け出していきました。
「女の子の…ブクブ…服があった…ブウウ。絶対に…ブクブ…パステルのだ」
海賊の一味であるボッシュは妙に断定的に言いました。
「おれの…ブブブ…女」
「そうなのか!?」
「ちがーう!!」
ボッシュの声が聞こえたのか聞こえなかったのか、驚くクレイに力一杯否定するパステルでした。
クレイとパステルは、親方のところに助けを求めようとしましたが、そこにはすでに海賊がいて、パステルのことがばれてしまいました。
パステルとクレイを家にかくまい、ノルは海賊と対峙しましたが、水のないところに長時間いたボッシュはへとへとになっていて、戦う気力もありませんでした。
ノルも手を出すわけにも行かず、こう着状態が続いていましたが、
「バカ息子たち!!」
ディビーの母の一喝と共に、海水がボッシュたちの上に降りかかってきました。大きなオバサンと数人の息子たちを乗せた車がノルたちの前で止まりました。
「娘はとっくに逃げたザマス! あぁたたち、何やってるザマスか! だいたい、短剣を忘れていったザマしょ! そんなことで娘を捕らえられると思ってるんザマス!?」
「ママ、これがはじめると長いんだよなぁ」
ディビーのぼやきと、ボッシュたちのため息も意に介さず、パステルとクレイが遠くに逃げるまで延々と説教が続きました。
パステルとクレイは悠々と蒸気機関車に乗って逃げていましたが、正面に軍の装甲車が来たので、助けてもらおうと機関車を止めました。
が、そこに現れたのは、パステルを捕まえにきた男でした。
その場から逃げ出したパステルを追って、クレイも駆け出し、枝分かれした別の線路に逃げたところに、説教を終えた海賊たちもやってきました。
装甲車からも海賊からも攻撃を受けたパステルたちは、線路から遥か地上に落ちていきましたが、パステルの胸元の青い石のペンダントが輝いて、二人を包み込みました。
「あっ」 「浮いてる。やっぱりその石の力なんだ、すごいな」 喜ぶクレイの手が離れそうになったパステルは、慌ててその手をしっかりと両手で握り締めました。
手を取り合った二人は、見つめあいながら、そのまま鉱山の穴の下まで行きました。
鉱山の穴をしばらく進んだ後、クレイが持って来ていた朝食になるはずだった食事を食べながら故郷の話をはじめました。
「ガイナ。ここから東の方の町だね」
「えぇ。わたし、父も母も亡くなったから冒険者になろうと、一人で町から飛び出したの。そしたら、たちの悪い当たり屋にぶつかられて」
「…それで?」
「さっき軍の装甲車から出てきたスワンソンっていう金貸しのところに連れて行かれて、そこから何とか逃げ出してきたの」
「あの海賊たちは?」
「わたしが冒険者になろうと受付に並んでいたら、わたしの前に割り込んできて、それで文句を言ったら…」
「追ってきた?」
「うん」
「その、青い石は?」
「これ? 関係ないよ」
END
終わらせてください(おい)。
パロディというとこういうものしか書けず。
FQと名作に対してこういうことをして良いのでしょうか(駄目だろう)。
はしょりすぎてますが、丁寧に書くと、ここまででも大変なことになるのでかなり割愛してあります。
「クレパス」と言っていいのでしょうか。シータとパズーはジブリの中でもカップル度は高いですが。
最後のシーンの後に登場するボム(?)爺さんはキットンにしようとかも考えていたんですが、だらだら続けても破綻していくだけですので、切りました。
ディビーのお母さんが海賊なのは実はキャプテン・ブラックもいるからです(機体整備のおじさん役)。
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