魔法とか、存在しないと思ってた。
でもそれは、見えないだけなのかも、しれないよね
第一話 「紅の月夜に降る光」
私、は部活帰りで歩いていた。
私は「射撃部」なんていう世にも珍しい部活動に参加していた。
銃や弓矢などの飛び道具が専門で、たまに剣道とかもする理解し難い部活なのだ。
つまり、大会とかもないわけで。
部員も私を含めて四人だったよーな気が・・・・。
そんな部活でもいろいろ挑戦できて楽しい!
だから私はやめないで続けていた。
家に着くと私はとりあえずお風呂に入ることに。
昔から母は体が弱くて入院と退院の繰り返しで、父はいつもの通り会社で
働いている。
つまり、家には私しかいないのだ。
刺激の欠片もないこの家はつまらなかった。
浴槽にゆっくりと私は体を沈める。
暖かい水が私の体を取り巻いた。
――――― ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・ ―――――
なんだか地震が来たみたいで、浴槽の水が揺れる。
でもそれはいつものことだから私は体が揺れる中一生懸命洗っていた。
洗い終わりとりあえず着替えて外に出た。
先程の地震で家が壊れてはいないか確認の為だ。
見てみると、ひびがいくつか見られるが、これは古傷で他は無い。
安心して家に入ろうとすると、黒い影が一つ、私の家の前に立っている。
漆黒のマントは風になびく。
マントの人は私を見た。
「汝の名は・・・?」
「んと、。」
「汝は・・・は我が世界の滅亡を妨げ、救ってくれる者だ・・・」
私が、世界を、救う??
「どういう・・・」
「着替えておいで。汝にはやらなくてはならないことがある」
「う・・・」
とりあえず私は自分の部屋に戻った。
黒いマントの人はすべてを見透かしたかのような目で私を見ていた。
その迫力に負けて私は即座に着替えた。
着替え終わった私は、すぐに黒いマントの人のところに行こうとした。
手元にあったチョコレートをそっとポケットに入れて。
「汝は武器の使い方がうまいようだな。」
「?」
「では、これを・・・」
そう言って渡されたものは、結構重たい銃である。
銃を入れる腰掛みたいなものも渡されて、ズボンに掛ける。
なんとなくカーボーイっぽくはなったかも知れない。
「汝には、力がある。それで世界を救ってくれ・・・」
黒マントの人が言い終わる前に、足元の地面が光る。
「えっ・・・ちょっと、どーいう・・・!!?」
私が理解できぬ間に、光は私を包み込み、そこで私の意識は途切れた。
私が気づいたときには、もう朝だった。
ベッドの上に寝っころがっている。
「夢、か・・・」
私が誰もいない部屋の中で呟く。
そして学校に行く準備をしようとカバンに教科書を詰めようとした。
だが、カバンも教科書もない。
それどころか、見たこともない部屋である。
「一体どーゆう・・・」
「あ、目覚めましたか」
とても優しそうな瞳で私を見る男性。
ここの主人だろうか?
「貴方が家の前に倒れていた時は驚きました。あ、私はジョシュア、ここはキング家ですよ」
ジョシュア?キング??
なんだか漢字で書けそうもない名前が私の頭をよぎる。
だけど、なんとか言葉は通じるみたいで。
「私は。ジョシュアは私を助けてくれたのね。ありがと。
ところでここ何処?」
「ここはガイナという町で、結構田舎ですよ」
「ふーん・・・この世界はどうも私の世界と違うみたいだわ。私の世界にはそんなへんてこな
食べ物はないもの。一ついただいてよろしい?」
「あ、どうぞ。もう3日は寝ていたからお腹空きましたよね?」
ジョシュアは私の態度にむっとするようなこともなくご飯を渡してくれた。
案外いい人なのかも知れない。
少しくらい、お世話になろうと私は思った。
「ありがと。意地悪してごめんね。少しこの世界のことについて教えてくれる?」
「もちろんですよ」
にっこりと笑ってジョシュアはベッドの私の隣に腰掛ける。
日はまだ、高い。
太陽、がついに赤くなってしまった。
どうすることも出来ない、この世界と私の世界は全然違う。
それは、ジョシュアから聞いた話で思い知らされた。
まず一つに、怪物「モンスター」がいること。
私はそんなものは見たこともなかったために驚いてしまった。
それもそうかもしれない、無理はないよとジョシュアは私に優しく言ってくれたけど、
勇者だとか言われても私は知らない。
大体なんで女の私が行かなきゃいけないのよって最初は思った。
でもジョシュアの話を聞いているうちに、段々とこの世界が魅力的になっていった。
いつか見たあの夢、世界を冒険するという夢が叶えられるかもしれなかった。
壮大なファンタジーに、私は囚われて行った・・・。
ジョシュアの話を聞き終えたのはもう日が沈みかけていた時だった。
私としても話の途中からうずうずしていた。
それはもう今すぐにでも出発したい気分だった。
夕食を済ませて私はジョシュアから紙と鉛筆をもらった。
そして。紙を切ったりして手帳を作り、カレンダーとこの世界の地図と、日記をつけておいた。
手帳も完成したところでジョシュアが私に頼み事をしてきた。
「、貴方はお金がないでしたよね?アルバイトを一つ、頼みたいのですが。」
「ん、ええ。いいけれど?」
「この封筒を、『パステル・G・キング』という方に渡して欲しいのです」
そう言ってジョシュアから渡された封筒は花柄のピンクで可愛いもの。
パステルさんはジョシュアの彼女みたいなものなのかな。
私は封筒を受け取ると、にこりと笑う。
「ええ、わかった。パステルさんに渡しておくね。」
「では、此れをどうぞ」
今度は私に封筒をくれた。
「先払いの給料ですよ」と笑ってよこすジョシュア。
先払いだとトンズラされるかもしれないのに、結構馬鹿みたい。
でも、人をこんなに信頼できるなんて、良いなと私は思うけどね。
ジョシュアと別れて歩くこと30分。
こんな真夜中じゃバスもないわよ、ええ、私は馬鹿よ・・・。
大体この世界にバスがあるのかどうかも不明じゃない!
あ〜、抜かったわ・・・。
これじゃあの「モンスター」っていうのも出てくるかもっ!!?
私きっと早死にするタイプね・・・
「おい」
「きゃーーーーーー!!!!!」
ズテーン。
後ろからいきなり声がして、私は叫び、転んだ。
くそぅ、泥だらけじゃんかぁ・・・。
私が半泣きしていると声の主は私に手を差し出した。
「こんな真夜中に何やってんでぇ」
「・・・冒険」
「アホ、そんなこと聞いてるんじゃねぇよ・・・お前、黒髪に黒い瞳、オマケに
見なれない服装、一体何者だ?」
「・・・タダノトオリスガリノモノデスワ」
「・・・すっげぇ棒読み。」
「うっ・・・大体、そのタイツっぽいのからして貴方のほうが服装の趣味が悪いのではありませんこと?」
「・・・ふーん、困っていそうだったから助けてやろうって思ったのになー」
「生憎私は忙しい身分なもので。」
私はつんっとして月のある方向へと歩こうとした。
すると、後ろからさっきの男の人がついてきた。
「前ちゃんと見て歩けば?」
「はぁ??私は前を見て歩いて・・・る?」
「モンスターの大群」
「へぇ〜・・・あれがモンスターなのね。なにあれ、馬鹿そうな顔つき」
「ゴブリンだ。性質の悪いやつらなんだよ」
「じゃ、戦わなきゃ」
「無茶いうなよ」
「初めての対戦を逃げろっていうの?無謀でも戦いたいわ」
「あ、そ」
無関心な男性はぽけーっと見ていた。
何よ、一人でできるわよ。
・・・はっ!!武器は・・・武器は何処?
拳かしら(馬鹿ね、私)。
・・・あ、そういえば黒いローブの人が銃くれたっけ?
・・・・・よし。
「さて・・・行くかしら?」
私が銃を持ったその時、銃は光を帯びて行った。
不思議と安心できる光・・・私はそう思った。
その瞬間、私自身も光を浴びた。
その時私の身体が変化していたことにまだ私は気づいてはいなかった。
「ごめんね・・・」
私はそう呟くと、銃からは光が放たれ、一瞬にして私の前にあった木の三分の二ぐらいが
散り飛んだ。
「自然破壊行為で罰せられるかも・・・」
私が呟いた時に気づいた。
私の髪の色が違うことに。
青と言うよりも紺に近い色だった。
少し長めの髪はすでに長髪と言えるような長さにまでなっていた。
「・・・俺はトラップだ。なぁ、お前うちのパーティに来ねぇ?」
「・・・んー、どしよかっな」
「初の戦闘にしてはかなりの腕前だ。パーティはそれなりに人数がいるんだが・・・」
「そうね。「パステル・G・キング」って人を探す手伝いをしてくれたらいいよ」
「パステルはうちのパー・・・・O.K。交渉成立だな」
何か言いかけたトラップは途中でやめたけど、手伝ってくれると約束してくれた。
よし、バイトはすぐに終わるかも。
バイトが終わればあての無い旅に出なきゃな。
「あ、お前、名は?」
「、覚えておいて」
「わぁーった。なぁ、もしも、もしもだけどよ」
「なに?」
「俺がお前に惚れたっつったらどうする?」
「即蹴り飛ばしてズラかるわ」
「・・・時間と信頼は必要かよ」
「さーね」
こうして私はトラップに付いていくことになった。
涙の一人旅もここまで、トラップがいてくれるらしいから二人旅・・・ではないことは
確かだけれど、パーティで旅に行ける!
・・・でも世界を救うなんてパーティを巻き添えには出来ないしね。
そこらへんは、パステルさんを見つけてからにしよっと。
その時はまだ解からなかった。
パステルに会えるのがあと何分後なんてことには、ね。
「うーっす、なかなかの腕の冒険者拾ったぜ!!」
トラップは人ごみの中に入って叫んだ。
村の入り口に、「シルバーリーブ」と書いてあったのが記憶に残っている。
ここは、あっちの世界(私達の世界ね)でいうところのレストランみたいなものだ。
まあ、酒場よね、夜は。
「へぇ〜!この子が?まだ若いね!なんていうお名前?」
はしばみ色の瞳が私を覗きこむ。
女の私でも思うほど、とても可愛らしい性格の持ち主だった。
「。冒険者ではないわ。一応、武器らしいものは持ってるけれど」
腰にかけた銃をそっと触った。
ひんやりと指先が冷たく感じた。
「私、パステル・G・キング!女の子とパーティ組めるなんて嬉しいよ!!」
「そう?私も、嬉し・・・って、えぇ!!?貴方、パステルなのっ!!?」
「え・・ええ、そうだけど・・・」
「・・・」
私は無言でトラップを睨みつけた。
トラップは口笛を吹いて窓の傍に座っていた。
「あいつ、盗賊か、詐欺師か、ギャンブラーか・・・知能の低そうなやつね」
「盗賊大当たり。性格悪いよ」
「くそ、はめられた・・・私にはパーティを組んでる暇なんかないっちゅーの」
「はめられた??」
パステルの問いに私は頷く。
トラップは笑顔で私に歩み寄った。
「まぁまぁ、んな細けぇことは気にすんなって♪」
「私は、元の世界に帰らなくちゃいけないんだけれど・・・」
「「元の世界?」」
二人同時の突っ込みにたじろいだ私だったけれど、順序をおって説明した。
「私は地球という星からきた、というの。なんだか、この世界を救えって
言って強制的にこの世界に送り込まれたいわば「勇者」ね。まあ、ゲームで言うところの、だけど。
で、この世界を助けることで私は帰れるらしいから、貴方達と遊んでる暇はないの。Are you OK?」
「世界の危機・・・どういう意味なのかしら。」
パステルは真剣に考え込んだ。
トラップはそんなパステルを見て、突然笑い出した。
「ぶぁーか、んなわけねぇだろっ!!」
「チョット、決め付けはよくないわよ!この目を見なさい!!」
私はトラップの顔の前にぐっ、と顔を近づけた。
トラップは私の目を見つめると、突然、さっきのバカにした調子は嘘のようになくなり、
顔色が青くなった。
私はわけもわからず、トラップの顔を見ていた。
やがてトラップは口を開いた。
「昔、じーちゃんから聞いたことあるぜ。この瞳・・・色の違う瞳を持つものと出会ったら、弱くても
加勢しろと。それは、いつか世界を救うから、と・・・まさか、ホントにいたとはな・・・」
トラップの焦り、不安、驚きが見え隠れした。
パステルはうーん・・・と唸った。
すると、何処からやってきたのか、前髪が。。。というよりも、髪全体がぼさぼさの、背の低い
男性がこっちに歩いてきた。
「話は聞きましたよ、もちろん、ハッタリかもしれませんが・・・本当なら、これはまさしく
世界滅亡の危機なのではないでしょうか?私は加勢させてもらいますよ、さん。
おっと!私は農夫のキットンと申します。申し遅れてすみません、お近づきの印にキノコを・・・」
「やめろボケ!!」
バコッ
トラップはキットンを殴る。
キットンは頭を押さえてうなだれていた。
トラップはパステルを見た。
「俺は、についていくぜ。その、俺はそう言われてきたし、親父だってそう言ってたし」
「私は、私は・・・やっぱり、クレイに相談しようよ」
パステルはトラップを見て、少し困ったような顔をした。
私の味方、初めてできたかも・・・。
それは、私の過去と深くかかわっていた。