甘ったるい菓子だって、贅沢なプレゼントだって、欲しいとは思わねぇ。
そんなもんじゃ、満足しねぇ。
*
昨日は、朝から晩までいろんな女に呼び止められた。
そして決まって「これ、どうか受け取って!」ときやがった。
…そりゃとりあえず、もらえるもんはもらっておくけどよ。
こうまで量が多いとさすがに面倒で。
この結果。
俺の部屋の一角は、得体の知れない山が出来上がった。
「いやー、すごいですねぇ。これ全部売れれば、当座の生活資金ぐらいには
なるんでしょうけどねぇ」
キットンが、物珍しげにその山を眺めながらうんうん頷いて。
「お、それいいかもなぁ」
「でしょう? いい案だとは思いませんか?」
ふたりでひそひそ話なんぞしてたら。
「あんたたち、何てこと言うのよ!」
たまたま聞いていたらしいパステルに、大目玉を食らった。
「だ、だってよぉ…」
「そうですよ。私たちだって一応、自分たちの足しになるほうが…」
2人で反論してみようとするが。
「これは全て、女の子たちの純粋な気持ちがいっぱい詰まってんの! そんな
にイヤなら、最初から受け取ったりしないで全部突っ返したほうがまだ、女
の子も諦めがつくでしょ!? そんなことしたら、許さないからね!」
珍しく迫力のあるパステルに一喝されて、あえなく玉砕。
…そーいや、こいつも。クレイに特別なモン、あげたりしてたっけか。
あいつもパステルに変な義理立てなんかして、他の女からのもらいもんは一切
受け付けねぇって言ってたもんな。
ま、俺にゃそんな相手いねぇから、いいけどよ。
………と、頭に浮かんだのは。エベリンにいるはずの、あいつの勝気な笑み。
そーいやあいつも、こんな世間に踊らされてるみてぇなのって嫌いだったな。
元気、なんかな?
「あーら、ずいぶんおモテになっててお幸せそうねぇ?」
不意に耳に届く、聞き慣れた声。
部屋の扉を開けて、そこに寄りかかって、腕組みなんかして。
「……おめぇ?」
あんまり不意打ちだったんで、それ以上台詞が続かない。
「今着いたのよ。あんたにいいモノあげようかと思ってね」
そう言って、近づいてきたあいつは。俺の腰掛けてたベッドの隣に座って。
「ほら」
にっこり、優しげに微笑んでた。
「…何、くれるんだ?」
俺が尋ねると、その微笑が途端に、さっき想像してたような勝気なものになって。
「あんたにはチョコなんて似合わないからね。あんたには、隣に私がいるのが
最高に似合ってんの」
ウィンクひとつ、寄越してきた。
───こんなのにゃ、完敗だ。
「どうなの? 気に入った?」
小首を傾げて、尋ねてきやがったから。
答えは、唇越しに、伝えてやった。
*
俺は、こいつしか欲しくねぇ。