面影


夜に包まれて
空を見上げていた
無数の瞬きと
漆黒の闇とを

吸い寄せられるように
とらえられた視線が離せない
意識さえ地上から離れていく

あの空の彼方に
あの星の向こうに
懐かしい両親の面影が
見えるような気がした

ふいに手を取られて
瞳の中にあんたが映り
幻の時間が終わりを告げた

行くな
おれはここにいる
ここにいるから

ためらいと名残の後で
その手を握り返した
地上への帰還を望んだのは
あんたかな
わたしかな

それとも
名も知らない人たちかな

闇に包まれて
顔も知らない父を思う

星を見つめて
声も知らない母を思う

両親を呼んだ
幾度も幾度も
途切らすことなく

こっち向けよ
父ちゃんも母ちゃんも
家にいるだろ
家でお前を心配してる
帰ろうぜ、おれたちの家に

強く手を引かれて
胸に抱かれた
闇からわたしを
切り離すように
夜からわたしを
覆い隠すように

そうね、トラップ
両親がいなくても
父さんと母さんがいる
あんたも傍にいる

ねぇ、離れていかないでね
ずっと一緒にいてね
あんたがいれば寂しくないから

あんたがいれば
寂しくないから





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