ナガレボシ


今夜は特別夜空が綺麗。やっぱりエベリンじゃないから?
トラップと一緒に眺めてるから?
頭の中で、いろんな思いがぐるぐる渦巻く。
ちらっと横目で見てみると、あんたも同じ状況かしら。

「…おい」
視線は夜空に向けたまま、トラップの唇だけが動いた。
「何よ」
平然としたふりで答える。
「おめぇ、どうして急に来たんだ?」
やっぱり聞かれた。
「別に」
…あんたに会いたかっただけよ。

「そっか」
何の感情も込められていないような声が、ちょっと癪に障ったから。
「何よ、その反応。なら聞かないで」
そう言って、離れようとした。すると。
「待てよ」
ぐいっと引っ張られて、また隣に戻されて。
「悪い」
珍しく神妙な顔で謝られた。

…調子狂うじゃない。
「別にいいわよ」
ほうっと息を吐いて、また視線を夜空に向けた。
すると、空を駆け抜けるひとすじの光。
「…あ、流れ星!」
思わず声が出る。
「ほんとだ、すげー久し振り」
トラップも声が上ずってる。

…何か期待して来たわけじゃないけど。
こんな夜は、少しだけ。何かを待ってもいいのかも。
「ねぇ、トラップ。あんた、願い事ってないの?」
「はぁ?」
「流れ星にお願いすると叶うっていうじゃない。あんた、何かないの?」
普段なら絶対しない質問。
私の期待してる答え、あんた気づいてくれるかしら?

「そーだな…」
うっすら顔を赤らめて、それから私の顔をじっと見て。
不意に肩をぐいっと引き寄せられて。
気がつけば、腕の中。
「おめぇが来てんだから、他にはねぇな」
…あんたらしくない台詞よね。
聞いてるこっちも照れちゃうけど。
たまにはこんなのも、いいのかしら。

「おめぇは何かねぇのか?」
トラップの声がいつもより熱いから。
「今、叶ったからいいわ」
私も自分らしくない言葉を返した。

腕の力が強くなるのがわかった。



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