今日は、今年最後の日。
クリスマスと違って、大げさなパーティなんてする人は僅かだけど、みんな静かにその時を迎える。
今年は、わたしはルーミィとシロちゃんと3人で過ごしてるんだ。
ノルはメルに会いに、クリスマスから出かけてるし、キットンは昨日ゼンばあさんから呼ばれた、と言って旅立った。クレイとトラップも、ドーマの実家に戻ってる。
わたしもガイナに戻ろうか、ちょっと迷ったけれど。結局シルバーリーフに残ることにした。今は、短い冒険談を少しづつ書き溜めたり、みすず旅館でおかみさんのお手伝いをしたり。おかげで宿の食事をサービスしてもらっちゃったりしてる。
そして、時刻はもう午後11時を過ぎた。
「きょうはずぅーっとおきてるんだおぅ!」って頑張ってたルーミィも、「はいデシ!」って答えてたシロちゃんも、とっくに夢の住人となっている。愛らしい寝顔を眺めつつ、わたしは原稿を書いていたんだけど。
「…ふぅ」
さすがにちょっと、疲れちゃって。この辺でやめることにした。
部屋の明かりを落として、窓の外を眺める。昨日積もった雪が、月明かりに照らされて白銀に輝いて、とっても幻想的な感じ。
まだお父さんもお母さんも生きていた頃の、こんな日は。
いつもと違って、わたしも夜更かしが許されていた日。
暖炉のそばで、お母さんの作ったホットドリンクを飲みながら、お父さんのお話をたくさん聞いて。
静かな、何てことないひとときだったけど、とっても好きな時間だった。
今は、もう二度と過ごせない時間。戻らない時間。
…久しぶりに、切なくなった。
急に視界がぼんやりしてくる。目頭が、熱くなる。
いつもなら、ここで誰かがタイミング良くわたしの感傷の邪魔をしてくれるけど、今日はそんなこともないだろう。眠ってるルーミィたち以外には、ここには誰もいないから。
お父さん、お母さん、ごめんね。前よりは、わたしも泣かなくなったけど。今だけは許してくれるよね?
叶わない、夢だけど。それでも願わずにいられないから。
もう一度、あの時に戻りたいから。
わたしは、声を押し殺して、そっと泣いた。
また明日から、笑えるように。
《終わり》