それは、ひとつ大きくなる日。
……何かが。
*
「ふぅ」
俺は部屋に戻り、ベッドの上に倒れこんだ。仰向けになり、天井を見上げる。
さっきしこたま飲んだワインのせいか、体中が火照っていて。
一応『今日のパーティーの主役は、何と言ってもクレイなんだからね!』と言われていたため、無残なまでに散らかった部屋の後片付けもそのままに、自室まで引き上げてきていた。
今頃は、パステルが皿やグラスを抱えて部屋中を走り回り。ノルは、先に眠ってしまったルーミィとシロをベッドに運んで。エベリンからワイン持参で駆けつけてくれたマリーナが、酔っ払ってソファで眠り込んでいたトラップとキットンを怒鳴りつけていることだろう。
───あまりにも、予想がついて。そして、安堵してしまう光景。
「……ふふっ」
意図せず、笑いがこみ上げる。
誕生日を祝ってもらえるのは、大人になってくるとそれほど嬉しくもないのだと、教えてくれたのは、誰だったろうか。
でも。
今でも俺は、この日が嬉しい。
家族だったり、仲間だったり。いろんな人たちが、俺のために集い、祝ってくれる日なんて、そうそうあるもんじゃないし。
何より、誕生日が来ると。
一応『自分の一年を省みる』なんて真似も、してみたりして。
本当に、ほんの少しだけ、ではあるけれど。
俺という人間が、成長していることを。少しだけでも、確かに実感できる───そんな、気持ちになるからだ。
それから、もうひとつ。
「クレイ……おめでとう」
はにかんだ笑顔を、俺だけに向けるときのパステルの可愛らしさ。
「ありがとう、パステル」
抱き寄せたら、甘く香る、彼女の金茶色の髪。
そして、俺の腕が。前よりも、しっかりと彼女を抱き締めていられること。
これを実感できるのも、誕生日ならではなのだろうと思う。
*
それは、ひとつ大きくなる日。
俺の身体も、俺の心も。
もうひとつ何より、君への想いが。
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