「はぁ……ったく」
トラップは自室のベットに横になり先ほどから一人で怒っていた。
寝ようにも昨日のことでのイライラが出てきてしまう。
「あいつらがわざとしたわけじゃねぇのは分かってるんだがなぁ……あぁー、やっ
ぱり怒りがおさまらねぇ」
トラップも二人が悪いと思っていない。
しかし、それでも感情と考えが一致しないことはよくあることだった。
それにあんなチャンスはもうないのかも知れなかったから。やおらベットとから起きあがると呟いた。
「酒場に行ってこよ」
昼間だというのに、どうやら酔って気を紛らわそうという考えにまとまったようだ。
と、ドアを叩く音がする。
「誰だよ、ったく。――ここには鍵なんてついてねぇよ!」
扉が開き入ってきた人物は――
「……マリーナ」
少し染まった頬をふくらましたマリーナがそこに立っていた。
先ほどまでの怒りがどこかに消し飛び……かわりに昨日の光景が浮かび上がってきた。
あと少しでふれあうほどの距離にいたマリーナの顔を。
「あっ、と……ど、どうしたんだよ?」
うわずる声を抑えつつ、なんとか平常心を保とうとした。
それに対しマリーナは一言も口を利かずトラップの隣へ腰を下ろした。
「お――」
「ルーミィちゃんとシロちゃんに昨日から口聞いてないんだって?」
あくまでもトラップと目を合わせようとせずにそう言った。
この言葉で何故マリーナがここにいるのか納得がいった。
(あの世話焼き夫婦の仕業か)
世話焼き夫婦、クレイとパステルの笑った顔が脳裏によぎる。
「別に怒ってるわけじゃねえ。ただ、邪魔されたことに苛立ってるだけだ」
「どう違うのよ。それに……邪魔されたって」
マリーナはようやくトラップの方に顔を向けた。
普段から想像できない顔を真っ赤にしたマリーナ。
トラップは素直にかわいいと思った。
「ルーミィちゃ――!」
ん達は悪くない。そう続けようとしたマリーナの唇をそっとトラップがふさいだ。
時間にするとコンマ1秒ほど。つまり……軽く触れるだけのものだった。
「これでルーミィとシロはゆるしてやらぁ」
顔を更に真っ赤にさせ口を押さえるマリーナを見てニッと笑った。
追記――その夜のトラップ前日とは180度違い機嫌が良かった。
ちなみに、クレイも妙に機嫌が良かったのはまた別の話で……