紙飛行機


「ぱーるぅ、こえみてぇ!」
 ルーミィが、私を呼んでる声。
「なぁに?ルーミィ」
「ほぉら、こえだお!」
 ルーミィの手に握られていたのは、真っ白な紙飛行機。
「どうしたの?これ」
「くりぇーがつくってくえたんだお!ふあふあ、ふりゃいのまほうみたいに ながーくとぶんだお」
 ルーミィ、にこにこして嬉しそう。
「そう、良かったね」
 私が言うと、ルーミィはにぱーっ、と輝くような笑顔で頷いた。
「ぱーるぅ、こえとばしにいきたいお」
「え?これから?」
 さっきお昼ご飯を食べてきたばかりだから、外で遊ぶ時間はまだまだある。
 ここ数日締め切りが迫っていたから、私もあまり外出してないし…。お散 歩がてら外に出かけるのも、いいかもしれない。
「うん、わかったよルーミィ。それじゃ帽子かぶって出かけよっか」
「うん!」

 私たちは身支度をして、近くの原っぱへ手をつないで行った。
 今日はとっても暖かくて、風もほとんどないから、飛行機を飛ばして遊ぶ のにはちょうどいいかもしれないね。
「ぱーるぅ、いくおー!」
 ルーミィはさっそく目をキラキラさせながら飛行機を飛ばした。
 ふわ、ふわ、ふわ…
「う、わぁ〜」
「わぁい、とんだおぅ!」
 何の変哲もない、紙飛行機、なんだけど。
 フワリと空を飛んでいて、太陽の光にきらめいている。とっても、綺麗。
 何だか少し、感動しちゃった。
「ぱーるぅ、もういちどとばすおぅ!」
 そう言ってルーミィは飛行機の落下地点へダッシュ。私も慌てて後を追っ た。

 結局その日、私たちは夕焼けが空を真っ赤に染めるまで、飛行機を飛ばし ていた。
 ルーミィはよほど疲れちゃったみたいで、夕食の後コテン、とすぐに寝入っ てしまい、私がベッドまで運ぶことになっちゃったんだよね。でも、寝顔が とっても嬉しそうに見えた。今日たくさん遊んだのが、よっぽど嬉しかった みたい。
 そして、今日ルーミィがたくさん遊んだ紙飛行機は、ちゃんと彼女の大事 なものとしてベッドサイドのテーブルの上に置かれていた。
 こんこん。
「はぁい、誰?」
「俺。ルーミィもう寝たのか?」
 扉をそっと開けて入ってきたのはクレイ。
「運んできても全然起きなかったよ。午後ずっと遊んでたから、よっぽど疲 れたんだろうね。でも楽しんでたから良かった。クレイ、ありがとう」
 私が紙飛行機を指差しながら言うと、クレイは静かに微笑みながら頷いた。
「本当はあれ、トラップが得意にしてたやつなんだよな」
「え?そうなの?」
「うん。俺とかマリーナとかにそっと作り方教えてくれてたやつでさ。久々 に作ってみたんだけど…ルーミィ、喜んでくれてたんだな。良かったよ」
「ふぅん…」
 私の知らない、3人の子供の頃。
 滅多に聞けない話だから、こんなささいなことでも教えてもらうのが、な ぜか楽しい。
「ね、クレイ」
「何?」
「今度はクレイも一緒に飛行機飛ばしに行かない?」
「…そうだな。ノルやシロも一緒に行って、皆で飛ばしっこでもするか?」
 私たちは、小声でそっと約束した。

 そして、次の日。
 結局皆で原っぱへ。珍しく早起きしたトラップも、「俺が考え出したんだ かんな、俺のが負けるわきゃあねぇ」なんて言って、頼んでもいない私やキ ットンの分まで作ってくれて。
皆で一緒に「せーのー、で!」
ふわり、ふわり…。
空へたくさんの紙飛行機が舞い上がった。

  (終わり)



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