キスキンのパーティでクレイが持ってきてくれたんだよね。
クレイはほんとに、いつもわたしのことを気にかけてくれてるんだってわかって嬉しかったな。
いつも見ててくれて、クレイになら何でも言える。
誰よりも、わたしの内側をさらけ出せるんだ。
クレイにとっても、わたしがそういう存在になれるといいな。
「パステル?」
「あれ、クレイ。どうしたの?」
階段を下りてくる音が聞こえてたから、誰か下りてくるだろうとは思ったけど、クレイだったんだ。
ちょっとドキドキしながら、クレイを見上げた。
「お茶でも飲もうかと思ったんだ」
「そうなんだ。わたしも温かい飲み物でも作ろうと思って。そうそう、キスキンでのパーティのこと覚えてる?」
クレイも覚えてて、飲み物が出来上がってからは、一緒に部屋に戻って、ずっと話をしてた。

あっという間に夕食の時間になった。
クレイとルーミィとシロちゃんの三人と一匹で猪鹿亭に向かった。
猪鹿亭での食事は各自ばらばらなことが多い。
冒険の後とか、パーティでもするときはみんな一緒だけど、普段はそうでもない。
だけど、やっぱり大人数で食事した方がおいしいんだよね。
寒い中を寄り添いながら歩いて、猪鹿亭では温かいスープを飲んで身体の芯までぽかぽかになった。
そうはいっても、旅館に帰るまでにまた冷えちゃうんだけどね。
ルーミィの手を引いて歩きながら、クレイにこっそり耳打ちした。
「クレイ、後で二人で散歩に行かない?」
「いいけど、ちゃんと厚着しろよ」
「うん」
男部屋にいたトラップとキットンにルーミィとシロちゃんを任せて、クレイと二人で外に出た。
夜空に瞬く星と、家の明りだけがクレイとわたしを照らす。
「どこに行く?」
「向こうの高台の方に行きたいんだけど、いい?」
「ちょっと距離があるけど、寒くないか?」
「大丈夫。クレイは?」
「おれは平気だよ」
クレイと二人、並んで歩いた。
いつもは話すことに困ったりしないのに、今日は会話も途切れがちになってる。
心臓の音が耳にうるさい。
「もうすぐだな」
「うん」
村の高台にあがると、星がより近くなる。
手が届きそう、とまではいかないけど、満天の星空がすごく綺麗。
声も立てずに、空を仰いでいた。
視線をクレイに移すと、クレイはじっと星空を見てる。
その横顔を見つめて、
「クレイ」
声をかけた。
視線がゆっくりと下りてきて、わたしの顔に定まる。
「パステルさ、ここのところどうかしたのか?」
「え?」
「いつもとちょっと違ってたからさ」
自分の気持ちを自覚してから、落ち着きを無くして、どうしていいかわからなくなってた。
そんなわたしに、気がついてくれてたんだ。
「クレイには隠し事はできないね」
「そうか? パステルのことは、見てればわかるからさ。それだけだよ」
そんなこと言われたら、すごく嬉しくなっちゃうよ。
片想いしてる相手が、そんなこと言ってくれたら、期待するんだから。
「いつからなのか、わからないんだけどね」
星明りでクレイの顔が見える。
クレイをじっと見つめた。
「ずっと前から、わたしはクレイのことが好き。クレイが大好き」
驚いたクレイの顔が笑顔に変わっていった。
「それを、伝えたくて」
「おれも、伝えたいことがあるんだ」
クレイがわたしを見つめた。
「出会った頃から、パステルのことが好きなんだ。ずっと好きだった。これからも、ずっと」
お互いに、一歩近づいた。
クレイの腕がわたしの背を回って、わたしの腕もクレイの背に回された。
よく考えてみたら、大胆な行動だったんだけど、このときは、そんなことは思わなかった。
痛いくらいに締め付ける腕が、ちっとも痛くなかった。
「好きだよ、パステル」
強かったクレイの腕が少しだけゆるくなった。
クレイの手が今度はわたしの頬をなでて、上を向かせた。
そっと、目を閉じた。


END

「ベスト END」です。 こちらがベストENDですが、HAPPY ENDはいくつかあるので、良ければもう一度チャレンジしてみてくださいね。
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