まだちょっと早いし、先に顔でも洗ってこようかな。
ルーミィとシロちゃんがぐっすり眠ってることを確認してから、部屋を出て階段を下りた。
食卓にはまだ誰もいないけど、厨房の方ではおかみさんが朝ごはんの支度をしてるのがわかった。
外に出ると、肌寒いけど気持ちのいい朝がわたしを迎えた。
宿の横手では、ノルが薪を割っていた。
「おはよう、ノル。朝からお疲れ様」
「おはよう」
ノルと挨拶を交わして、宿の裏にある井戸で顔を洗った。
手を入れるだけで水は冷たい。
ばしゃばしゃ顔を洗って、すぐにタオルを押し当てた。
気持ちいいけど、やぱり冷たい。
「おはよう、早いな」
顔に当てたタオルを離せなくなってしまった。
どうして朝から会うの!?
まだ、心の準備ができてないのに!!
かたまってるわたしに構わないで、クレイは顔を洗って、わたしの手からタオルを取った。
「あっ!」
「借りるな」
「う、うん」
「どうかしたか?」
「ううん」
普通にしてるクレイの顔を見たら、なんだかほっとしてしまった。
うん、大丈夫。
朝からの妙な緊張もほぐれていくような気がして、ノルと三人で食堂に向かった。
ルーミィとシロちゃん、ついでに寝ぼすけな二人組みも起こして、みんなで朝ごはんを食べた。
ご飯の後は、しばらくルーミィたちの相手をして過ごした。
いつ、クレイに言おうかなぁ。
その場面を想像すると照れるし、恥ずかしくなるけど、わたしが告白したら、クレイはどれくらい驚くだろうとか思うとちょっと楽しくもなるんだ。
告白する場所はどこにしよう。
顔が見えると照れるから、夜の方がいいかな。
不安と緊張の中でも、笑っていられるのがなんだか嬉しい。
「おねーしゃん、どうしたデシか?」
「何でもないよ」
「ぱーるぅ、ルーミィ寒いおう」
格安旅館は隙間風も入ってくるから、確かに寒いんだよね。
「寒いの? 温かいものでも飲む?」
「うん」
「温かいオレンジジュース、持って来るね。シロちゃんも飲む?」
「はいデシ」
大人しくしててね、と言い残して旅館の台所に行った。
温かいオレンジジュースって言えば…
A、昔、お母さんが作ってくれた
B、クレイが持って来てくれた
![]()
![]()