ルーミィしゃんとボクは、朝はいつもパステルおねーしゃんに起こしてもらうんデシ。
パステルおねーしゃんは原稿があるから、ボクたちを起こしたらすぐに机に向かうデシ。
「今日はノルがバイト休みだから、下で待ってくれてるよ」
「わぁい」
「行くデシ」
手を上げて喜ぶルーミィしゃんがもっと喜ぶ顔を見たくて、ボクはルーミィしゃんと急いで一階に行ったデシ。
クエストがないときは、おねーしゃんたちはそれぞれお仕事をしてるんデシ。
だから、お仕事が終わるまでは、ボクはルーミィしゃんと遊んだり、村の子たちと駆け回るんデシ。
それはとっても楽しいデシけど、みなしゃんがいないのはやっぱり寂しいデシ。
今日みたいに誰かのお仕事がお休みだったり、パステルおねーしゃんが締め切りに余裕があるときは、遊んでくれるからとっても嬉しいデシ。
「のりゅ〜」
「おはよう、ルーミィ。シロ」
「わんデシ」
旅館の一階にはおかみさんがいたデシから、ボクは「わん」って言ったデシ。
「小屋に行こう」
ノルしゃんはそう言って外に行ったデシ。
話せないボクのことを、気遣ってくれたんだと思うデシ。
ノルしゃんはいつもとってもボクのことを気にかけてくれるデシ。
ボクのことだけじゃなくて、パステルおねーしゃんやクレイしゃんたち、村のみんなのこともデシ。
いっつもにこにこ笑ってるノルしゃんが、ボクはとっても好きなんデシ。
でも、疲れたりしないんデシか?
ノルしゃんが疲れてるところも、怒ってるところも、イライラしてるところも見たことがないデシ。
いつも笑ってるんデシ。
笑ってるのは素敵なことだと思うデシけど、いつもにこにこしてるのって難しいデシ。
ボクもいつも笑っていたいデシ。
でも、食事ができなかったり、ルーミィしゃんが怒ってたりすると寂しくて悲しくなるデシ。
お役に立ちたいのに立てないと、情けなくなるデシ。
ノルしゃんはそんなことはないんデシか?
毎日何回も「ありがとう」って言われてるノルしゃんはすごいと思うデシ。
ノルしゃんはなんでもできるデシか?
誰かに謝ったりとかすることもないデシ。
失敗したり、間違えたりしないデシか?
ボク、ノルしゃんみたいになりたいデシ。
「のりゅ、あやとりしたいおう」
「わかった」
ノルしゃんは小屋の隅に置いてある自分の荷物の中からあやとりの糸を取り出したデシ。
ルーミィしゃんがいつも使ってる糸と、ノルしゃんの糸デシ。
ボクは爪が大きいからあやとりはできないデシ。
あやとりしようとすると糸が切れちゃうんデシ。
残念デシけど、ルーミィしゃんが楽しそうにしてるのを見てるだけでボクも楽しいからいいんデシ。
「シロ。今日はどこに行くんだ?」
ノルしゃんが聞いてるのは、この後のボクの朝ごはんの場所についてなんデシ。
ボクはみなしゃんみたいな食事は食べれないから、村の外までモンスターを取りに行くんデシ。
もう慣れたデシし、危険なところに行くわけじゃないデシけど、こうして気にしてもらえるのは嬉しいデシ。
「今日は西の方に行くデシ」
「そう、こうだ。こっちだ。…そうか。気をつけて帰って来い」
ノルしゃんはルーミィしゃんにあやとりを教えながら、ボクに返事してくれたデシ。
「はいデシ」
しっぽを振りながらボクは答えたデシ。
パステルおねーしゃんたちに「人前では犬のまねをしてね」って言われてから、嬉しいことがあるとしっぽをふるようになっちゃったデシ。
ノルしゃんはそんなボクを見て、にこにこ笑うんデシ。
嬉しいときにボクがしっぽを振ること、ノルしゃんはきっと知ってるんデシ。
それが嬉しくて、ボクはまたしっぽを振るんデシ。
「いってくるデシ」
「いってくるおう!」
ルーミィしゃんの元気な声と、ノルしゃんに見送られて、ボクは村の西の方に行ったデシ。
今日は何が食べられるか楽しみデシ。
村のみなしゃんが声をかけてくれるデシから、それに「わんデシ」って応えながら歩くデシ。
たくさんのみなしゃんが声をかけてくれるデシから、とっても嬉しいんデシ。
ほんとはみなしゃんとおしゃべりしたいデシけど、それはできないんデシ。
寂しいデシけど、パステルおねーしゃんたちに心配かけるわけにはいかないデシ。
おねーしゃんたちは、ボクのことを思って話さないようにって言ってくれてるデシから。
それにルーミィしゃんたちとは話せるデシから、それで十分デシ。
前は誰とも話せなくて、寂しくて寂しくて寝てばかりいたデシ。
今はとっても幸せなんデシ。
そんなことを考えながら歩いてたデシから、いつもより遅くなっちゃったデシ。
急いで食事するデシ!
村を出た先の草原には、探しても虫もモンスターもいなかったデシ。
だからボクはくんくん匂いをかぎながら(ボクは匂いはそんなにわからないデシけど、犬のまねをしてるうちにこれも癖になっちゃったデシ)、どんどん先に進んでいったデシ。
「危険があぶないデシ!」
探すのに夢中になっていて気付くのが遅れたデシ。
気がつけばズールの森の近くまで来てたデシ。まばらに生えた木の向こうには、ゴブリンがいたデシ。
同じ人型なのに、パステルおねーしゃんやボクのおかあしゃんとは似ても似つかない姿だったデシ。
モンスターはたくさん知ってるデシ。
ボクが前にいた洞窟にもいっぱいいたデシ。
なのに怖いデシ。
すごく怖いデシ。
こんなモンスターは、洞窟にはいなかったデシ。
いつもなら傍にいてくれるみなしゃんもいないデシ。
「熱いのデシ」も「まぶしいのデシ」もあるのに、この時は怖くて忘れちゃってたデシ。
ボク一人しかいないんデシ。
動けないボクと、ゴブリンの目が合ったデシ。
口元が歪んだかと思ったら、奇妙な叫び声をあげてボクに迫ってきたデシ。
逃げないといけないデシ。
逃げないと殺されるデシ。
ルーミィしゃんや、パステルおねーしゃんたちに会えなくなるデシ。
そう思ってるのに動かないんデシ。
どうして動けないデシか?
ボクはここで、死んじゃうデシ?
「ノ…ノルしゃん!! 助けてデシ!」
ノルしゃんの名前を叫んだ瞬間に、体が動くようになってボクは頭を伏せたデシ。
「ギャッ!」
悲鳴のような声が聞こえたデシ。
だけど、ボクの声じゃないデシ。
叩かれるような音と、逃げ出すようなせかせかした足音。
ボクが顔を上げると、
「だいじょうぶか? シロ」
ノルしゃんが心配そうにボクを見てたデシ。
震えるボクを肩に乗せてくれたノルしゃんと、話しながら村に向かったデシ。
ノルしゃんはいつまでもボクが帰らないことを心配して、探しに来てくれたそうなんデシ。
ボクの声を聞きつけて、ゴブリンを追い払ってくれたデシ。
「ノルしゃん、かっこよかったデシ」
お礼を言った後に、ボクはそう言ったんデシ。
ノルしゃんは頬を赤く染めて、ちょっとうなずいたデシ。
ノルしゃん、照れてるデシか?
照れてるノルしゃんを見れたボクはなんだか嬉しくなって、出かける前に思ってたことをノルしゃんに話したデシ。
いつもにこにこ笑ってるノルしゃんはすごいデシ。
みんなに好かれて、みんなに頼られてるノルしゃんはすごいデシ。
「ボク、ノルしゃんみたいになりたいデシ」
「そうか」
ノルしゃんはずっと顔を赤くしたまま、最後にそれだけ言ってすごく嬉しそうに笑ったんデシ。
僕の言ったことで嬉しそうに笑ってくれたんデシ。
「ノルしゃんのことずーっとずーと大好きデシ!」
ノルしゃんの大きな肩の上で揺られながら、ボクはひときわ大きな声でそう言ったんデシ。
END
――――あとがき――――
2222HiTのげんたつさんのリクエストの「ノルの創作」です。
ノルというか、シロちゃんというか、という創作になってしまいました。
ノルの場合はノル自身に語らせるよりも他の人から見たノルの方が、ノルの魅力を伝えられるかなぁと思いまして。
いまいち伝えられてない気もしますが。
なにはともあれ、2222HiTおめでとうございます!
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