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今日は久しぶりにバイトが早く、というか定時で終った。 まだ日が暮れてない。 ・・・今日の夕日はキレイだな・・・ そんなことを思いながら、俺はみすず旅館へと向かっていた。 「あれ、ノル。何してんだ?」 公園にさしかかった頃、ノルの姿を見つけて声をかけた。 「ルーミィとシロが遊んでるんだ」 そういってノルが指さした滑り台では、何度も何度もシロと楽しそうに滑っているルーミィが見えた。 「ルーミィたちに付き合うの、俺が代わろうか?」 そう言ってみたが、ノルは首を振った。 「クレイ疲れてるんじゃないか? ルーミィとシロは俺が見てるから」 確かにここ数日の疲れが溜まってる・・・。 「そうか? じゃ、お願いするよ」 俺はノルの言葉に甘えることにして、再び宿へと歩き始めた。 「ただいまー。・・・・・・あれ?」 「どうしたんですか? クレイ」 俺を迎えてくれたのはキットンだけ。 原稿を書いてるはずのパステルの姿はなかった。 トラップのヤツは・・・まだバイトかな? 「キットン、パステルは?」 「さあ? どこかに出掛けでもしたんじゃないですか?」 「どこ行ったんだろう。もうじき暗くなるぞ?」 外は徐々に薄暗くなってきている。 「・・・俺ちょっと探してくるよ」 「そうですか? じゃ私はノルたちと先に猪鹿亭に行ってますから」 「わかった」 俺はパステルを探しに出掛けた。 * * * * * 「これと、あっ、あれも使えるかな?」 私は村はずれの草原で、花や葉っぱを拾って袋に入れてるの。 ん? これをどうするのかって? こないだノルに、花や葉っぱでキレイな草木染めができるんだって聞いたから、その材料集め。 この葉っぱとかをどうするのかっていうのは・・・・・・後でノルに教えてもらう予定なんだけど。 あははっ。 気がつくと辺りは薄暗くなって来ている。 さすが「秋の日はつるべ落とし」だね・・・。 ってのんびり夕日を眺めてる場合じゃなかった、早く帰らなくっちゃ。 「おーい、パステル!」 「あれ? クレイ、どうしたの?」 「いや、パステルが遅いからさ、探してたんだ」 「あ、ごめんね。もう帰るよ」 私とクレイは歩き始めた。 「何してたんだ?」 「ん? うーんと、何でもないよ。」 「その袋は? 何か取ってたのか?」 「え!? うん、えっと、えっと・・・。内緒!」 ニコっとクレイに笑顔で答えて 「私ちょっとみすず旅館に寄るから、先に猪鹿亭に行ってて」 そういって私は、クレイに見つかる訳にはいかないモノを、(みすず旅館の)私の机の引き出しにしまっておいた。 次の日。 今日はノルのバイトが休みだから、クレイとトラップがバイトに行ってから、草木染めを教えてもらった。 花や葉っぱを入れてグツグツ煮立て、白い布を中に入れていく。 お湯は、何だかすごい色なんだけど・・・何色に染まるんだろう?・・・・ ちょっと不安になってノルを見たら、ニコニコしていた。 ってことは、きっと大丈夫だね。 「ぱーるぅ、これなんらぁ?」 「さっきの白い布がね、これで違う色に変身しちゃうんだって!」 「ヘンシンするんかぁ〜」 「不思議デシ」 ってルーミィもシロちゃんも興味深々。 私もどんな感じになるのか、とっても楽しみ! * * * * * 昨日のパステルは、ちょっと変だった。 何だか挙動不振というか・・・。 それにパステルが持ってた小さな袋、あれって何だったんだろう? カラン コロン 「あ、いらっしゃいませ!」 いけないいけない、バイトに集中しなくっちゃな。 昨日の事はパステルに聞いてみればいいか。 でも元気だったし、聞かなくてもいいことかな? 「悪いね、こんなに遅くなっちまって」 「いえ、大丈夫です」 ・・・とはいえ、外は真っ暗。 ふぅ、今日も疲れたなぁ。空を見上げて、ため息を1つ。 星がキレイだな・・・・。 「ただいま」 「あ、クレイおかえり」 パステルに”おかえり”と言われると安心するというか、ホッとする。 「今日も遅かったね。今ね、牛乳暖めたんだけどクレイも飲む?」 「ああ、サンキュ。」 パステルが渡してくれたホットミルクは、熱くて身体を温めてくれる。 「そっちは? これからまだ仕事か?」 「うん。今日は昼間にあんまり書けなかったんだよね」 「あんまり無理するなよ」 「クレイもね」 2人で顔を見合わせて笑った。 それから数日が過ぎた。 俺はバイトが忙しかったが、今日は早く上がらせてもらったんだ。 理由は― 「「「「「「 クレイ、誕生日おめでとう!! 」」」」」」 みんなが猪鹿亭で”誕生日パーティ”を開いてくれるっていうから。 こんな風に自分を祝ってくれるのは、嬉しいよな。 「クレイ、おめでとう。これね、プレゼント」 パステルからもお祝いの言葉とプレゼントをもらった。 プレゼントは青色に染まったハンカチ。 ”ノルに教えてもらって、染めたんだ”と、君は笑顔で話し始めた。 みんなの言葉も、プレゼントも嬉しいけれど、何より嬉しかったのは― 俺にだけに向けられたパステルの笑顔。 でもきっと君は、気付いてないんだろうなぁ。。。(苦笑) |