雨の向こうには


今日は朝から雨模様。
我が家のちびっこも、お外で遊べず不満げで。
「ぱぁーるぅ、るーみぃおそとにいきたいおぅ」
「行きたいデシ!」
…その台詞も、もう何回目だろう。

「おーいルーミィ、シロ!ちょっと来て手伝ってくれるか」
クレイの声。ルーミィもシロちゃんも、ぴょこっと立ち上がる。
「どうしたんら?」
「どうしたんデシか、クレイ兄ちゃん?」
暇だったのもあって、ふたりはさっとクレイのところへ。
何だろう?手伝って欲しいことって。気になるなぁ。
…でも何より先に、今締め切りが近い原稿を完成させないとね。
幸いちょっとだけお邪魔虫になっていたふたりも、遠ざかってくれたことだし。

「よぉし、終わったぁ!」
原稿の執筆が完了すると、既にお昼どきだった。
「あ、いっけない、ご飯準備しないと…」
「ぱぁーるぅ、ごはんだおぅ!」
…え?
私の予想外だった、ルーミィの声。
「くりぇーとしおたんとつくったんだおう!」
「パステルお姉しゃん、食べようデシ!」
ふたりが誘いに来てくれて、私は食堂へ直行した。

「あれ、ルーミィたち寝てるのか?」
昼食の後片付けを引き受けてくれたクレイが、私たちの部屋にやってきた。
「うん」
クレイを手伝って、ふたりが作ってくれたお昼ご飯はクレープで。
いろんな具を自分で巻いて食べると、とっても美味しかった。
たくさん働いて、とっても楽しかったみたいで。お腹がいっぱいになった途端に ふたりは仲良くコテン、くぅー…と眠ってしまったんだ。
「お疲れ様クレイ、ありがとう。美味しかった」
私の言葉に、クレイはにっこり笑顔を返してくれた。
「こいつらも楽しそうにしてたから、やってみて良かったよ。パステルも少しは 原稿、はかどったろ?」

…そうか。
クレイ、私の仕事が順調に進められるようにわざと二人を呼んでくれたんだ。
改めて気がつく、彼の優しさ。思わず口元が緩んでしまう。
「どうした?」
クレイが私の顔を覗きこむように、顔を近づけた。
「うきゃ!な、何でもないよ、あ、あはははは」
私は冷や汗混じりな笑顔で答えた。
「…?そうか?」
クレイは納得いかないって表情。
でも、本当に嬉しいよ、ありがとう、クレイ。
だからこれは、ほんの、お礼…

「クレイ」私はそっと近づいて。
「ん?」
彼がこっちを向いたから、一瞬だけ頬に唇を寄せた。
「!!パ、パステ…」
真っ赤だよ、クレイ。でも私もきっと、顔が火照ってる。
「…ありがと」
彼の言葉を待たずに、私は部屋を飛び出した。

気がつけば、外は雨が止んで。青空だった。



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